ダニエル・M.デイヴィス著『美しき免疫の力 動的システムを解き明かす』(2018)NHK出版

免疫細胞が未知の病原菌をどう認識するのか。タンパク質の立体構造による鍵と鍵穴の関係で認識する。そんな説明で納得してしまいますが、食物と病原菌をどう区別するのでしょう。

本書は一般向けだからといって大雑把な説明に終始せず、コツコツと免疫の仕組みを説明します。特に、初期のワクチン発見時代は整理されていて理解しやすいです。中盤では研究者の競争や医薬品産業のお金の話が混じって来ます。また、免疫そのものの複雑さに由来して内容もより複雑になります。

読み終わるころには、免疫に対して単純な解釈は出来なくなります。

新しく知ったことは、アジュバント(ワクチンを助けるもの)です。ワクチン単体でなぜか効かない時に必要になる物質です。

昆虫も持っている自然免疫と人間などの哺乳類がもっている獲得免疫。免疫というと獲得免疫のことを想像しますが、ざっくり免疫全体の5%くらいの感覚のようです。

多くの病原菌に共通で特有のたんぱく質に対して働く自然免疫が主要な役割を担っています。手にキズができても膿もせずすぐに治るのは自然免疫のおかげなのです。考えてみれば、抗体が出来るのには1週間や2週間はかかりますから、すぐに効くというものではないです。

未知の病原体に結合する抗体を作る仕組みが興味深かったです。DNAをランダムに切ったものから作った構造をマーカーとしてあらかじめ作ってあるのです。ランダムであるので個人差があります。多様性が重要なのも納得ですね。誰かは免疫によって人類に未知な病原菌に打ち勝つことができるわけです。

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