フラクタリスト マンデルブロ自伝
フラクタル
広中平祐著『生きること学ぶこと』は中学生の時に親に渡され読みました。当時はフィールズ賞をとった日本人数学者として素直に尊敬していたように思います。と同時に、何をやってフィールズ賞をとったのかはサッパリわかりませんでした。
その広中平祐が監訳したマンデルブロ著『フラクタル幾何学』はフラクタルがいろいろな場面で観察できるというカタログを示しつつ数式を使ってフラクタル幾何学を丁寧に解説しています。特に1次元2次元という次元に小数点を導入するくだりは確かに小数点を導入する必要があると不思議に理解できる内容だったと記憶しています。
マンデルブロ集合について書かれているのを読んでいるとジュリア集合やレヴィ過程などの用語が出てきます。マンデルブロ著『フラクタリスト』のp.193でこの用語をマンデルブロが定着させたのだとわかります。両人とも学んだ教授の名前なのですが、ただの名前でしかなかったものがマンデルブロとの関わりを通して生き生きと描かれます。
マンデルブロがIBM時代に綿花価格を素材にチャートを分析した内容を主にまとめた『禁断の市場』と一緒で『フラクタリスト』には数式が出てきません。勉強・戦争・ユダヤ人・多言語・転職・引越しなどなど、自伝だけあって何をどうして選んだのかが克明に示されています。