シックス・フィート・アンダー(2001-2005年)


six feet under は「埋葬されて・亡くなって」という意味です。自宅兼職場の地下でエンバーミング処理もするような人の死がきわめて身近な環境で抑圧的な生活を余儀なくされる家族の物語です。

以下ネタバレを含みます。



クリスマス休暇を家族で過ごすため、17歳で家を出た長男ネイトを父ナサニエルが空港まで迎えに行くという話から始まります。妻ルースが電話で喫煙をとがめたことがきっかけで夫ナサニエルは自動車事故で亡くなります。以後、ナサニエルは抑圧された生活から解放された霊的存在として心理描写の際に登場します。

長男ネイトは飛行機の中で知り合った名前も明かさない指圧師の女性ブレンダと共に自由な生活をする存在として登場しますが、父亡き後、葬儀社を継ぐことになり再び抑圧的な生活に戻ります。

次男デイビッドはゲイの恋人キースとの関係をカミングアウトすることに成功し、抑圧から解放され心の自由を獲得した存在として描かれます。

長女クレアは家を出たネイトを裏切りと感じる一方、家族の抑圧された生活を異常だと呪い、その一員としての自分がいったい何者なのかを葛藤しもがきます。

物語で登場人物を死なせてしまうのは悲しいに決まっているので陳腐で褒められるものではないとは言いますが、舞台が葬儀社だけあって毎回様々な死が演出されます。シーズンを追うごとに死ぬのは当たり前であることを示しつつ、では何が悲しいのか自由な心を抑圧し本来の自分ではない自分でいることの孤独が悲しいのではないかと訴えています。

シーズン5の最後3話で長男ネイトは妻ブレンダとの生活も実は良き夫・良き父であろうと抑圧したものだと悟り、それを壊します。