映画『裸足の季節』

本作の原題は英語の「Mustang」です。このタイトルにしたのはなぜですか? ムスタングは野生の馬で、溌剌として扱いにくい5人姉妹を象徴しています。( 監督|映画『裸足の季節』オフィシャルサイト
「素足」の季節の方が内容にあっているかもしれません。デニズ・ガゼム・エルギュヴェン監督の作品は初めて観たのですが、確信犯的に儚げで美しい少女を糖衣として使い、文字通りSEXの抑圧された問題を観るものへ飲み込ませるという映画でした。いろいろな賞を取っているだけはあります。


みずみずしい少女たちを象徴するかのように冒頭のシーンでは、少女たちが海に入って男の子たちと水遊びをします。のっけからドキッとしました。

その後、近所の女性から、海での水遊びが破廉恥だと祖母へ告げ口されてしまいます。少女たちには両親がいなく、祖母と叔父に育てられているのです。

祖母は少女たちを激しく叱ります。その後、叔父が激怒するのですが、それに対しては祖母は少女たちの味方をします。しかし、叔父は少女たちを学校へも行かせず家へ閉じ込め、順番に結婚させて行きます。

単純に、男性が女性を抑圧しているというだけでなく、近所の通報した女性が抑圧側に立っていたり、祖母が一方では抑圧側に立ち一方では理解があるなどグラデーションがあります。逃げる先のイスタンブールには、少女の味方である学校の先生が住んでいます。最後には希望があるので安心して観て大丈夫かと思います。

ただ、見終わったあとカフェで「どうだった?」とか話しにくい内容もあり、どうなんでしょう。観るしかないのかな。自分も何かに抑圧されているのかもしれません。

どうしても少女たちや叔父に注目してしまいますが、昔は少女だった女性たちが試されているように思えてきました。少女たちは無力なので一部が逃げても大部分は強制的に結婚させられてしまいます。世界はたいして変わらないでしょう。

もし、この映画で言えば自由な結婚が許されるようになった場合、強制的に結婚させられた昔は少女だった多くの女性たちが、もしかすると救われないのかもしれません。少女たちの祖母は「結婚してから好きになるんだよ」といいます。まあ、そういうこともあるでしょうし、そう思わないとやり切れない部分もあるのでしょう。

そんな状況で、自分たちの時代は自分たちの時代、今は今と世代間ギャップを乗り越えられるものかな?と疑問に感じてしまいました。

最初に告げ口した女性は、昔少女だった頃、5人姉妹の誰と同じようなパターンで結婚したのか?を考えながら観てみるのも良いかもしれません。長女でも三女でも五女でもないですね。次女かな四女かな。