2015/11/21

『ローマに消えた男』(2015) パランパランッパパパラン♪

恵比寿ガーデンプレースでは、JR恵比寿駅方面から恵比寿ガーデンシネマへ伸びる広場への通路にレッドカーペットが敷かれていました。広場には巨大なシャンデリアが設営されています。なんでも、バカラだそうです。http://gardenplace.jp/special/1510baccarat/baccarat.html



さて、『ローマに消えた男』を観てきました。原題は『Viva la libertà 』(2013) 『自由に乾杯』 イタリア。

脚本がしっかりしていて退屈せずに観ることができました。『キングスマン』が「プッ」と吹き出す笑いなのに対し、「ニヤッ」とするところが所々配されていました。

以下、ネタバレ含みます。


冒頭は、まったく笑顔がなく、凄まじくつまらない感じで進みます。「消える」ことが分かっているので、主人公が姿を消しても特に意外性はありません。

その後、消えた主人公の穴を双子の兄弟が見事な演説で乗り越えてハッピーエンドという、身も蓋もない内容なのですが、監督・脚本・原作のロベルト・アンドーの完璧な組み立てに圧倒されました。http://romanikieta-otoko.com/story/

例えば、冒頭の1連のシーンでは、鏡が度々登場します。これから起こる兄弟の交代劇を暗示しているのでしょう。

登場人物の構成についても、主人公兄弟のかつての恋人は映画のスクリプター・記録進行係(または脚本家)で、その夫は映画監督です。

漫画『タッチ』では、達也と和也と南がそれぞれ天才肌の兄、努力家の弟、どちらも好きだが兄の方がより好きという関係ですが、『ローマに消えた男』では教授であり精神を病んでいる天才肌のジョバンニと政治家のエンリコ、ジョバンニを好きだった元恋人という三角関係が成り立ちます。

党運営に疲れたエンリコはローマを離れ、昔なじみでありジョバンニの元恋人のもとに隠れ住みます。そこで、映画の小物係として手伝いながら徐々に快復してゆきます。彼女は密かにエンリコと写った写真を持っているのですが、娘にはジョバンニと過去一緒に暮らしていたと誤解されています。

替え玉のジョバンニはインタビューや演説で党運営について度々答えます。フェリーニのテレビ批判というか映画はどうあるべきかというインタビューが挿入されたり、ブレヒトの言及があったりするところをみると「映画を撮るということはどういうことか」について考えさせるジャンルの映画といえるでしょう。もちろん、教育劇として観客である我々も消費するだけでなく、双子でなくとも自分の内面の二面性について思い浸ることになるのです。

配役の来歴を読んでいると演劇で活躍された方々ばかりです。最後戻ってくるのはエンリコとジョバンニどちらなのでしょう。きっと、パランパランッパパパラン♪と口ずさみたくなります。