『スノウ・クラッシュ』を読んでケタケタ笑う

『考える人2008年春号』が海外小説ベスト100を特集していて、案の定買ってしまった。多くの方があげている、私のベスト10を読むのは面白い。面白いものの、やはり原作を読んでいないとつまらない。

今回は、やっぱり『白鯨』読んでおかないといけないなぁ、と思った。

というのも「うん。お家がいいかもね」で終わる小説『スノウ・クラッシュ』を読んでみたら、『白鯨』の影が見え隠れしたからだ。『白鯨』を読んでいないのにそう言えるのは、

特急便屋の女の子Y・Tとハーレーを乗り回す巨漢レイヴンとの会話

「仕事は何やってるの?」
「おれは銛撃ちだ」
「『白鯨』に出てくるような?」


とか


「あたし、エイハブっていうおっさんについて読んだことがあるんだ」とY・T。


などとあからさまな部分があるからだ。

聞くところによると『白鯨』というのは円環のイメージが散りばめられているらしい。

そこで『スノウ・クラッシュ』は01バイナリをマスターメタファーにした小説であるとして読んでみた。円環(ゼロ)だけでなく、直線・棒(イチ)といったイメージが溢れているので、「あっ、これはゼロだ」「こっちはイチだ」と01を探しながら読んでみたのだ。
男が1で女が0で、などと陳腐なものではない。むしろ女の方にビットが立っていたりする。

ケタケタと笑える場面がいくつかあったが、頭からアンテナを出している<ラフト>という人間が出てくるところを紹介してみたい。

<ラフト>とは、アンテナが外科手術で脳に直結されていて、受信したとおりに動く人間で、まさに頭にビットが立っている状態の人間だ。主人公ヒロ・プロタゴニストと<ラフト>となったジャニータの会話に

「これが終わったら、おれの女になってくれるか?」
「もちろん。さあ、終わらせましょ」

とロマンチックなシーンがあるのだが、その時もジャニータの頭にはアンテナが立っている。抱きしめ合うとアンテナが鼻にあたるのだが気にしない。

他にもトイレットペーパーの場面などが楽しい。

仮想世界のモチーフは「スノウ・クラッシュ」解読を読んでいただきたいし、フランチャイズ・宗教・ウィルスなど重厚なテーマもあり、笑えるだけでなく、しっかりと読み応えのある小説であったことを断わっておきます。



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