全員インサイダーになる
前回のお話しは「定期預金1年もの夜型」でした
インサイダー取引というのはアウトサイダーがいるから存在する。その線引きが難しいので問題になるのだろう。本人とその配偶者の資産を公開することで良しとする場合、子供や親戚、親友はアウトサイダーである。境界線がどんどん広がって行けば国中がインサイダーになるかもしれない。
今回はアウトサイダーをなくす方法を考えてみた。
たとえ上場している企業であっても粉飾決算は可能になってしまう。長い目で見れば粉飾決算も調整されてしまうのだろうが、短期的には株価操作に有効である点が問題だ。
業績を良くするのが企業の目的であって良い業績を公表するのが目的ではない。当たり前ではあるが、業績を公表することが企業に課せられている以上、そこにどうしてもズレが生じてしまうのはしょうがないのかもしれない。公正な会計士というのもなかなか難しいようだ。
そこでGPLライセンスを参考に究極の公開企業(以下、公開企業)を考えてみた。GPLというのは自由に使用、改変が認められているソフトであるが、そのソフトを使用したソフトを公開する場合、公開するソフト自身も自由に使用、改変を認めることが求められるライセンスである。
公開企業はおよそすべての情報を公開する。取引する企業が公開企業へメールを使って連絡すると、公開企業の社員の元へメールが届く。公開企業の社員が使うパソコンはもちろん公開されているので、社外の人間でもほぼリアルタイムに閲覧が可能な状態にある。もしかすると社員がメールを読む前に社外の人間がメールを読むこともあるかもしれない。
当然プライバシーには細心の注意が必要である。取引する企業が個人情報を書いたメールを公開企業へ出すとただちに公開されてしまう。この場合、公開企業へ出したメールが公開されることは、あらかじめわかっているので個人情報を公開してしまった責任は取引する企業にある。つまり適切に暗号化するなどセキュリティー対策が重要になる。
公開企業と取引する企業は自ずと取引内容を公開することになる。公開企業を中心に公開の輪はどんどん広がっていく。もちろん公開企業と取引をしない企業も出てくる。ただ、その企業は公開企業と比べインサイダー取引のリスクが高くなる。
いかがだったでしょうか。現状では足りていないセキュリティー対策の予算をインサイダー取引により不当に失われた資金によって補完できたら良いと思ったしたいです。次回は「オンライン表計算と証券取引API」です。