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2021/03/06

ふたりの微積分――数学をめぐる文通からぼくが人生について学んだこと(2012)岩波書店

スティーヴン・ストロガッツ著『ふたりの微積分――数学をめぐる文通からぼくが人生について学んだこと』(2012)岩波書店

カオスを調べているとストロガッツの名前が必ず出てきます。連続を想定する線形の世界に対して、非連続を想定する非線形の世界。カオスは後者に対応しストロガッツの専門です。

ストロガッツは大学時代、家族に説得されて医学コースへ進もうとします。しかし、数学が好きなのに無理をしていることが重荷でした。

「今やっとハイゼンベルクの不確定性原理が本当はどいういうことなのか、言葉だけじゃなくて、数学で勉強できるところまできたんだ。(P.33)」

と量子力学の魅力を母親に話します。結局

「最高の数学教師になるためなら何でもする(P.38)」

と数学の道を行くことになります。

この逡巡の時期にも高校時代の数学の先生と数学についての文通をしています。後に生活が忙しくなると手紙の返信もほとんど書かなくなるのですが、振り返ってみるとこの文通がストロガッツに陰ながら多大な影響を与えていたと知ることになります。

宮沢賢治の『セロ弾きのゴーシュ』を思い出しました。チェロが下手なゴーシュに夜な夜な動物たちが音楽を教わりに来ます。文句を言いながらも教えているとゴーシュ自身の技術が向上するという話です。

高校の数学の先生が文通では元教え子の数学者ストロガッツの生徒となります。先生の趣味は数学の証明をすることです。文通の内容を読んでいると本当に楽しそうなのが生き生きと伝わってきます。とても素晴らしく羨ましい限りです。

久しぶりに『大学への数学』から勉強し直したくなりました。

2021/03/03

アフリカンクリーンエナジーのソーラーふいご


Sros - Cambodia | Kiva を読むと燃料費として月に40ドルの支出があるそう。カンボジアの平均月収は2~3万程度のようなので、燃料費の占める割合を日本の感覚で考えると月4~5万円という感じでしょうか。この燃料費を節約するのは理にかなっています。

燃料費節約の切り札がACE Oneというソーラーパワーストーブです。



小さなソーラーパネルでストーブの火力をすべて賄うのは無理なので「怪しい商品なのか?」と訝しく思いましたが、調べてみると「ソーラーパネル」+「バッテリー」 +「ファン」を組み合わせた商品のようです。価格はわかりませんが、Kivaでは75ドルや100ドルを13か月で返済する設定が多いです。
バッテリー内蔵のためスマホの充電やらLEDライトが使えたりと便利そうです。単純な商品ですが、利用効率は高く有望だと感じました。

東京ガスの「ずっともソーラー×トヨタホーム」は新築の住宅にソーラー発電システムを無料で提供し10年間の売電収入で回収する仕組みです。きっと太陽エネルギー10年債とかあるのでしょうね。Kivaの場合は13か月の短期でお手軽ですがインパクトは十分でしょう。

3/8の国際女性デーにちなみ女性への融資が特集されています。Kiva紹介リンク




2021/02/19

「淵野辺新刊読書会」で読みたい近刊202102

2021年2月現在「淵野辺新刊読書会」で読みたい近刊です。

 
マーク・ミーオドヴニク 著『Liquid 液体 : この素晴らしく、不思議で、危ないもの』インターシフト (合同出版) (2021/3/18)





ステファニー・ストラスディー著『悪魔の細菌-超多剤耐性菌から夫を救った科学者の戦い』中央公論新社 (2021/2/20)


エミリー・レヴェック著『天体観測に魅せられた人たち』原書房 (2021/3/5)

2020/11/20

「発酵美人」買いました


Udemyでブラックフライデーセールも始まっています。

2020/10/14

『最も賢い億万長者 上下巻 ――数学者シモンズはいかにしてマーケット』(2020)ダイヤモンド社

本書は2部構成になっています。第一部では、数学の世界から投資の世界へ転向したジム・シモンズがいかにして成功したのかを描いています。第二部では、トランプ大統領誕生の際に資金源になったロバート・マーサーが科学者なのになぜか荒唐無稽な説を信じていることを詳細に描きます。本来1冊なのを2分冊しているため下巻の後半が第2部となっています。

ファンド成り立ちの歴史を丹念な取材から掘り起こしていますが、一番気になるであろう投資に関わる数式は具体的には一切明かされていません。裁定取引であることは当たり前ですが、組み合わせの対象を選択するのに機械学習を早い段階から導入していたことは読み取れます。初期はエルウィン・バーレカンプがカーネル法を使っています。結局、他のファンドとの明確な違いは分からなかったようです。

歴史記録としては面白いです。上巻P.279の写真にマンデルブロに似た人が写っていたり、バーレカンプが映画『ビューティフル・マインド』のモデルジョン・ナッシュの授業に出ていたり、シャノンとすれ違ったりします。

『そして世界に不確定性がもたらされた―ハイゼンベルクの物理学革命』の数学版を目指しつつ、読みやすくするために大雑把にした印象です。

第二部では時間的にも近いからか、第一部と比べて情報の密さが濃くなります。トランプ大統領がどうやって勝利したのか疑問に思っていたのですが腑に落ちました。投資で蓄財する本と思って読んでいると、いつのまにかどうお金を使うかを考えさせられてしまう本です。

2020/10/07

読書猿著『独学大全――絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』(2020) ダイヤモンド社

ツリーノートを作っていたときに「オズボーンのチェックリスト 」というのを調べていたら、『独学大全』の著者である読書猿さんのブログが出てきたのでした。その後上梓された『アイデア大全』は購入しなかったのですが『独学大全』は予約購入しました。

2日で通読して気がついたことは、自分には掬読(すくいよむこと)が足りないということです。確かに『時間術大全』とか『記録の力』などは掬読しているのですが、本当に読みたい『因果性』や『世界の複数性について』は通読していて途中で止まってしまってます。
難しい本だから止まってしまうのか、通読しようとするから止まってしまうのか。もしかすると直感に反して後者が正解なのかもしれないです。

ここ半年ほどいわゆるビジネス書・自己啓発本を良く読んでいるのですが『独学大全』に内包されています。きっと読書猿さんも読まれているのでしょう。また55の技法とありますが、やり方はともかく、やればできることを女性翻訳者の効率の悪そうな語学習得方法を例に示しています。

語学学習と言えば、NHKのラジオ英会話を聴いていたのですが、数か月前から基礎英語3を主に勉強することにしました。
途中で止まってしまうことは独学する上で避けられないですが「可能の階梯」という話題で、難易度別に学習したいことを並べて易しめのところから取り掛かると良いとあります。私にとって基礎英語3は知らないところは少ないですが、暗唱することは難しいレベルです。なかなか良い選択だったと再確認できました。基礎英語3はPQRST法と良く似ていて記憶しやすく工夫されていることも分かりました。

ラーニングログも定規で作って記録し始めました。これも『超習慣術』などで有用性は理解していました。でも作っていなかったのですが『独学大全』で著者が定規でログを書いた測量野帳を見たら手が動きました。「カ.クリエ5mm方眼」を使いました。

最後に、本書を読んで行なったこととして読書会を始めました。その名も「淵野辺新刊読書会」です。「独学は孤学ではない」と繰り返し書いてありました。インターネット時代ですから「基礎英語3」を聴きつつ「ストラングの線形代数」に取り掛かっている人がいるはず!「淵野辺新刊読書会」では『独学大全』と「最も賢い億万長者」を読みました。

2020/08/26

シェーン・バウアー『アメリカン・プリズン』(2020)東京創元社

副題は「潜入記者の見た知られざる刑務所ビジネス」というだけあって、著者が潜入して感じた問題はすべて収益構造に組み込まれます。
刑務所と監獄の違いは労働があるかないか。アメリカでの刑務所の成立過程が興味深いです。綿プランテーションや道路建設に従事させていた奴隷が解放されたため、無賃労働者の穴埋めが必要になりました。そこで微罪で刑務所へ送り、囚人貸し出し制度の名のもと各種労働をさせていました。

ドラマ『プリズン・ブレイク』は建築家の弟が刑務所の設計図をもとに兄を脱獄させるべく、自ら投獄され所内のハラハラドキドキを楽しむ物語でした。
本書を読むとそこまでしなくても脱獄できる刑務所もあるのだなと感じます。

マフィアのボスが刑務所内で好き勝手している映画が良くありますが、囚人看守というそうです。看守の人員が足りないので、囚人の中から一番凶悪な者を選び一部看守業務をさせます。その代わりに便宜を図るというわけです。

著者が潜入した刑務所も人員不足です。外の運動場に移動させるための見張りが足りないので閉じ込めっぱなしだったりします。時給はスーパーと同程度なのでお金を持った囚人に容易に買収される人も多いようです。

結論は、経済性にはあらがえないという身も蓋もない内容でした。印象的だったのは経営者が各種批判に対して、もし(そのような)批判が本当なら政府から刑務所業務を委託されないでしょうということを言っていたことです。

問題点は簡単で、フィードバックが遠すぎるということだと思います。例えば、囚人の再犯率や死亡率などを委託報酬に連動させるなど、より近いフィードバックを設定すればより良い刑務所環境になると思いました。